ジャパンヴィンテージの中でもグレコやトーカイ、ヤマハに比べるとイマイチ知名度が低いバーニー。
バーニーはフェルナンデスが1970年代から展開している”ギブソン系”のブランドです。
つまりレスポール・スタンダードやSGといったアイテムのコピーを展開していたわけですね。
※こういうことを言うと「今の中国と同じ」みたいに思うかもしれませんが、僕はヘッドロゴに「Gibson」と入れてないだけ当時の日本の楽器メーカーはえらいと思うのですw
(Chibsonは”Gibson”ってやっちゃってるからね)
さて・・・そんなBurnyのヴィンテージギターなのですが、どうも他のブランドのようにシリアル番号などで年式をチェックすることができないようなのです。
そこで!!
ヴィンテージバーニーの見分け方をフェルナンデスで公開されているカタログやヤフオク!の出品物などを元にまとめてみました。
※おそらくは「ジャパン・ヴィンテージ」について触れられている書籍なんかを買った方が詳しく載っていると思いますので、その辺もいずれ入手したいところです。
はじめに
フェルナンデスは1973年からのカタログを(おそらく全部ではないと思いますが)ウェブサイトに掲載してくれています。
[参考]CATALOG | FERNANDES OFFICIAL WEB SITE
なのでここを見るのが一番手っ取り早いであります!
ただ、残念ながら全年代の全モデルが掲載されているというわけではないので・・・あとはどうにか他の情報から補っていくしかなさそうですね。。。
Burnyなの?Bunnyなの?
ところでバーニーのブランド名はアルファベットで書くと「Burny」となり、真ん中の「r」がスクリプトロゴで「n」に見えてしまうことから「Bunny(バニー)」と呼んでいる人もいます。
・・・というか、
そもそも当時のBurnyのカタログにはウサギのマスコットがいたりしたので、あながちバニーで間違いないのかもしれませんな、、、
アッーー!!!
レスポールモデルはFLG、RLG、LG
Bunryのレスポールモデルは1975年から発売を開始されており、当初はFLG(Fernandes Les paul type Guitarの頭文字?)モデルとして展開されていました。
※ちなみに1977年からスタートしたレスポールカスタムモデルはFLCというプレフィクスです。
1982年からはRLG(おそらくRevival Les paul type Guitar)モデルという名称になり、それが現在まで続いています。
(1990年代にはLGというモデル名のレスポールもありました)
Fernandesは自社工場を持たないため、各年代によって違う工場からのOEM商品という形で展開されています。
それでも基本的にセットネックやマホ単板バックという仕様は当初から崩しておらず、グレコやアリアのヴィンテージものに比べると年代間での品質差が少ないのかな?といった印象があります。(主観です!!)
ヴィンテージか否かを見分ける
まず、ヴィンテージバーニーかそうじゃないかを見分ける方法として簡単なのは以下。
- TRC形状を見る
- 背面コントロールプレートを見る
- ヘッド裏を見る
TRC(トラスロッドカバー)が3点留めになっている場合、それは近年のギターであることを意味しています。
これはバーニーに限らず・・・と言った感じですかね〜。
次に背面コントロールプレートの色。
これが白っぽいパーツだと近年のモデルです。(ヴィンテージバーニーは黒)
そしてヘッド裏。
ここに「FG」で始まる番号が印刷してあったら2,000年代のバーニーですね。
ヴィンテージモデルの年式やグレードを調べる
さて、あなたのギターがめでたく(?)ヴィンテージだったとしたら・・・次はある程度の年式やグレードを調べていくことが可能です。
年式やグレードは
- ヘッドのレスポールロゴ(金文字)
- TRC
- ボリュームノブ
- ペグのブランド
- ピックアップ
- ボディトップの見た目
- ボディバックの継ぎ足し
- シリアルナンバー
このあたりから調べていけます。
※以下僕が調べた限りなので年代とか間違ってたらごめん。
ヘッドのレスポールロゴ(金文字)
まずはBurnyレスポールモデルのヘッドロゴから。
ロゴと言っても「Burny」と書いてある方ではなく、本家だと「Les Paul MODEL」と書いてある金文字(スクリプト)のほう。
1975年~1979年のモデルには本家そのままの「Les Paul MODEL」が印刷されています。
この頃はまだGibsonからの訴訟を逃れていた時期だったんでしょうね。
1980年のヘッドには金文字ロゴが存在していませんでした。
1981年から1992年までのFLGおよびRLGモデルは「Luper Prade MODEL」・・・と読めてしまう「Super Grade MODEL」の金文字が印刷されるようになります。
1992年~1993年のLG-75GRという富士弦製レスポールでは再び金文字ロゴが消されました。
1994年~2002年の間はLSモデルというBurnyオリジナルのレスポール風モデルが活躍していた模様。
RLGモデルはなかったんですかね。
一応レスポールスタジオ風のLGモデルもあったみたいですがここでは割愛。
2003年からはSuper Grade MODELの印刷が復活しますが、一部上級モデルなどは印刷無しのものがあったみたいです。
なので金文字が「Les Paul MODEL」なら1975〜1979年のギター。
「Super Grade MODEL」なら、1981年以降。
「印刷なし」なら1980年かLGモデルか・・・2000年以降の上級モデルか・・・?とまとめられますでしょうか。
ちなみに1978年の一時期だけ、Burnyロゴの代わりにフェルナンデスの石ロゴと呼ばれるものが用いられていたFLGモデルがあり、その時はLes Paul MODELの部分も何やら英字がびっしり書いてある仕様になっていました。
また、90年代にはBurnyロゴ部分がFernandesとなっている幻のRLGモデルがあったそうですが、こちらはカタログ掲載外なので詳細不明です。
TRC
次にトラスロッドカバー。
1975年〜1988年までは本家と同じベル型の2点留めが使われていました。
そのうち1977年まではそこにアラビア風文字で「FERNANDES」というモールド+印刷が入っていたみたいです。
1989年頃から同じ2点留めでも、ベルにちょっと羽が生えたような形状のものに変更になっていました。
2003年のカタログでは3点留めTRCになっています。(以降3点留め)
ボリュームノブ
1975〜1976年のBurnyレスポールはボリュームノブに1960年式を意識した金属プレート入りハットノブが採用されていたようです。
1970年代後半から、’59モデルを意識したような(?)ゴールドのハットノブになっています。
ペグのブランド
ペグについてはイマイチまとめきれてないです。
当初は安いモデルにキーストーン形状(チューリップ?)でクロームカラーのオリジナルペグ、上級モデルにグローバーのロトマチック・・・という違いがありました。
いつだったからか、キーストーンの方もパーロイド?になって、本家ヴィンテージのようなダブルリングになって、みたいな進化があったと思います。
いずれにしろ初期アイテムでグローバーがついていれば最安価モデルではないことがわかります。(あと付けでなければ)
※たまにヤフオクとかでFernandesのオリジナルペグがついているのに「上位グレード」と騙っているアイテムが出てたりするので注意したいところ、、、
ちなみに僕が最近見た画像だと1975年のGroverはペグボタンが丸い形のヤツでしたが、1976年のヤツはGroverでもキーストーン型になっていました。
同じブランドでも見た目に違いがある可能性がありますので、ネット通販で買う場合にはヘッド裏もしっかり見せてもらうヨロシです。
ピックアップ
ピックアップは見た目だけだと年代やグレードの判別は難しいです。
購入後、取り外してPUの型番でも調べられたら確実性が増しますが・・・。
年代やグレードによって「オープン・クローズ」があったり、同じFernandes製でも違うものが用いられていたり。
後年にはストック状態でダンカン積んでるヤツもあったような・・・。
ボディトップの見た目
初期のBurnyレスポールの場合、ボディトップは「ハードメイプル」とされていても例のトラ目が出ていることは少ないようです。
この辺はヴィンテージバーストに準拠といえるのかもw
70年代後半~90年代ぐらいでは上位グレードのモデルに美しいトラ目が採用されているので、それが判断基準になりますね。
2007年のカタログからは上位グレードでも貼りメイプルであることが記載されています。
ただそれが「それ以前のモデルは貼りメイプルではない」という証拠にはならない点に注意。
また、1975〜1976年モデルの全てに、1977年〜1980年ぐらいは上位機種にのみ「カシュー塗装」という漆塗りみたいな仕上げが施されているのも特徴の一つです。
ボディバックの構造
Burnyのギターは初期モデルから一貫して「ボディバック:マホガニー単板」を謳っています。
単板というのはもちろん「ベニヤ集成材(プライ材)ではない」という意味で、バック材が1枚板で出来ているという意味ではありません。
・・・が!!!
1970年代ぐらいのFLGにはバック材が1ピースと言うモデルが存在していました。
1975年〜1976年のFLG100はカタログにも明確に1ピースであることが記されています。
それ以降のFLGだと「基本は2ピース」でありながら、稀に1ピースものがあったとか、上位グレードは1ピースだったとか・・・そんな感じみたいです。(曖昧ですまん)
シリアルナンバー
1975-1980まではシリアルあり。
一説によると1981年製もシリアルがあったりなかったり・・・みたいです。
初期のシリアルは5桁または6桁のもので、基本的には頭の数字が5なら75年製、6なら76年製・・・みたいな感じ。
ただ1977〜1980ぐらいのシリアルにはアルファベットで始まるものもあり、その場合はその限りではない可能性もあるなど、年代の特定が難しそうです。
この辺はフェルナンデスのOEM元がころころ変わっていた過渡期っぽいので、工場によってシリアルの打ち方が違ったのかもしれません。
1981〜2002年の間はシリアル無し、またはRLGモデルの設定無し(カタログ上)。
※ただし有名なBurnyまとめサイトでは「1996年が最後の日本製RLGの年」とのことで、そこにはシリアルがあるとかなんとか。。。
2003年からカタログにも復活するRLGモデルにはFGで始まるシリアルがヘッド裏に印刷されています。
FGの次の2桁が西暦を表しているのかな。(例:FG18xxxxxxx→2018年製、みたいな)
ちなみにFGシリアルのBurnyはMIC(Made in China)モデルの模様。
どの年代のバーニーが良いのか?
さて・・・じゃあBurnyのギターってどの年代のものを買うのが正解なのか?なのですが・・・
ありていな回答をするなら「正解などない!!」ですw
ただよく言われているのは、ジャパンヴィンテージの頃のものは中華製のアイテムより優れているとか、そういう話ですよね。
ジャパンヴィンテージというキーワードに対応するのは1975年〜1980年ぐらいまでかなーと思います。
ただ、1980年代のRevival期にあたるモデルというのが、’59レスポールを一番よく再現しているそうで、初期FLGよりも人気があるとかないとか。
wikipediaによればFLG(1975〜1980年製)は寺田楽器製で、おそらく1978年〜1979年のFLGのみ東海楽器製のものがあった模様。
東海のレスポールはLS-60と瓜二つだったそうで、ヘッドストックだけBurnyに変えたものと言われています。
※決め手になるのはコントロールキャビティ内のプリント基板(Tokaiのソレ)で、僕が確認した限りだと1975〜1977年のモデルには採用されていませんでした。
1981年からのRLGモデルはマツモク工業製で、1986年モデルからはダイナ楽器製、1990年代初頭からはフジゲン製だそうです。
いずれの年代もGrecoなどライバル会社に比べると”ベースグレード”が高いため、まぁどれを買ってもそこそこに良い音がするんじゃないでしょうか。
※たとえばGrecoが3万円台のレスポールモデルから用意していた時代にもBurnyは7万円のモデルからしか存在していなかったなど。
人気のマツモクモデルが欲しかったら1981年〜1985年ぐらいのRLGモデルを買うといいかもしれないですね!
個人的には1975年〜76年の、重量5kg近くある1960 Les Paul風Burnyもオススメです。
ちなみに、1970年代の物価は今の1/2~1/3程度と言われています。
大卒初任給が7~9万円だったそうなので・・・FLG-70でも現在の価値に直せば「定価21万円」ぐらいの感じになるわけですか、、、そりゃマホ1ピースとかやれるわ。
中華バーニーはアカンのか
では2000年代の中華バーニーはダメなのか??というと・・・決してそんなことはないと思うんですよね。
日本の気候には日本の木材が適しているとかはあるはずですけど、そこら辺も「好き好き」ですし。
古いギターの方が木材が枯れるというのも本当にある話みたいですが、その枯れた木材から鳴る音だけが良い音なのか?というのも疑問ですし。
「じゃあなぜ中華バーニーは安いのか!?いい音がしないからじゃないのか!?仕上げが雑なんじゃないのか!?」みたいなことが気になる方は、原材料だけでなく人件費とか、マーケティングとか、あとは古くて絶対数が少ない商品の価格が上がる理由などを調べてみると腑に落ちる部分があるかもしれません。
おわりに
というわけで、Burnyのレスポールモデルまとめでした。
あくまでカタログベースなので、間違ってる箇所が多々あるかもしれません。
また、たとえば1980年モデルと言っても、カタログに掲載されていたのがその年ということで実際には1980年と1981年の境目というのは判別が難しいような気もしております。
現にグレコではあまったギターを使いまわして次の年のモデルにしていたこともあるみたいですしね。
なのでまぁ実際には「どっちの年代とも取れる!」みたいなのがあるんじゃないかな。
(1970年代Baldwin時代のGretschみたいな)
それから、当時のカタログというのはそこそこ曖昧なので、イマイチ信用ならない部分もあるみたいですw
※ギブソンだってウェイトリリーフ加工についてずっと黙ってたわけですしおすし
さらにいうと・・・90年代前後ぐらいの頃ってショップ主導の(カタログ掲載外の)「ショップオリジナルモデル」とかも結構あった印象なんですよね。
なのでまぁ・・・カタログ情報はある程度の参考までに・・・って感じですな。
特に中古品の場合、たとえばパーツが交換されてたり、ヘッドロゴが書き換えられてたりすることが多々ありますので、実物を触ってみて・・・というのが確実です。
※実際に3点留めのTRCを無理矢理2点留めに変更してヤフオク出品されているアイテムを見たことがありますよ!