僕の7本目のギター・・・ついにやらかしました!
2022年の今、Vintageと呼んでも差し支えないでしょう。Gretch Roc Jetです!
White Falcon Jr.→Greco RJ-85(Roc Jetのコピーモデル)とくれば、そりゃモノホンに手を出してしまいますわな、、、
というわけで、Gretch Roc Jet (7613)はどんなギターだったのか、、、みていきましょう!
Gretsch Roc Jet (7613)・・・こんなギターやった
やーん、カッコいい。
Gretch Roc Jetは69年代末~70年代にかけて展開されていたグレッチのセミソリッドギターです。
・・・いや、セミソリッドて!!
実はカタログやグレッチギター関連のムック本には「完全なソリッドギター」という記載があるんですよね。
でも僕が持ってるヤツはホロウボディと思われる(※ボディ叩いた時の音だったり、持った時の軽さだったり。)っていう、不思議なヤツなんです。
歴史的な部分
この子の歴史については以前別のブログでまとめましたので、そちらも参考にしてみてください。
要は60年代後半にGretsch社を買収したBaldwin社が、売り上げ低迷を抜け出すために作り出したモデルです。
もともとグレッチに存在していたDuo Jet(こっちは今でも有名)のリプレイス品として展開されました。
※というか、そもそもDuo Jetが50年代初期にはロックジェットって呼ばれてたんですよね~。
1969年にオレンジ(Porsche Pumpkin)の6127と黒(Mercedes Black)の6130がそれぞれ誕生し、1972年にJet Fire Birdの後継として赤(Cherry Red)の7612とウォルナットカラーの7613が追加されます。
今回のアイテムはそんな1972年式の7613であります。
各部・・・見て行こうか
数年前に一度セルフリペアを施しました。
フレットのすり合わせと弦高調整、あとはピカピカに磨いただけですがw
ラージヘッドって言うんでしょうか。
デュオジェットのソレとかに比べると頭が大きいタイプ(カントリージェントルマンみたいな)になってます。
実はROC JETって年代によって結構仕様が違ってて・・・。
72年の前期ぐらいまではデュオジェット同様の細いヘッドだったんですよ。
さらにそれ以前になるとヘッド側にトラスロッドカバーがあるとか、「ROC JET MODEL」と書かれた金属プレートがついているとかがありました。
でも72年後半からはこのタイプのヘッドで固定されたのかな。
ヘッドのインレイはこんな感じ。
昔のギターって結構ここが雑だったりして、それがまたいいのよねえ、、、
ヘッド裏にはシリアルが入ってます。
僕のヤツは72年の11月に作られたものみたいですね~。
なので、もしかしたら時期的に「72年製造の73年モデル」とかだったのかもしれません。
ストック状態のチューナーが何だったのかはわかりませんが、僕が購入したものには初めからGROVERのロトマチックが付けられていました。
ナットはめちゃクソに減ってて・・・機能してんだかしてないんだか怪しい感じw
でもまぁゼロフレットシステムのおかげでたぶんどうにかなってます。
指板はエボニー。
高級感がありまんな。
ポジションインレイは半月状のシェルでした。
オールドグレッチはバインディングがはがれやすいというか・・・そりゃそんだけ年数経ってりゃそうなるでしょって感じのものが多いんですけど、この子はそこそこ状態よく残ってましたね~。
ボディカラーのウォルナットは写真で見ると「茶」って感じがしますけど、実物はもっと赤みを帯びたシースルーカラーです。
ちなみにウォルナットはあくまで色の話で、材はオールマホとのことでした。
ピックガードは70年代ファルコンなんかに使われていた形状のもの。
透明のアクリル(?)に裏からシルバーが吹いてあります。
これも60年代当初~70年代初頭まではカントリークラブとかみたいなもうちょっと丸っこいピックガードが使われていたんですよね。
さらにいうと77年~79年式はもっと独特な形状になるので・・・中古で探す時には簡単な年式照会ポイントと言えるかもしれません。
(リプレイスされてたら意味ないけど)
ピックアップはスーパートロンIIというハムが2発ついてます。
バータイプのマグネットが特徴的ですかね~?
何気にマイナスネジがヴィンテージ感を醸しだしておりますぞ・・・!
これも初期のものはフィルタートロン風のカバードタイプのカバー(って言い方は変だけどw)だったのが、72年後半のモデルからはハイロートロンのような半オープンっぽい形状のカバーに変更されています。
またエスカッションベゼルもグレッチ特有の透明のプラタイプのものからメタル製のフラットなものに変更されました。
↑参考までに、フィルタートロン風のカバーと、プラのエスカッション。
ちなみに出音は非常にパワフルでギャリッとした感じ。
なのにレスポールのそれとはまた違うような・・・なんか不思議なヤツです。
ピックアップはエスカッションに固定されて、薄いボディトップに留められている仕様でした。
あれ・・・そうか。
69年~72年初旬のプラエスカッションの方はこういう仕様になってないと思うので、もしかしたらそっちのロックジェットはソリッドだった可能性も無きにしも非ず、ですね。
この子はこの奥に空洞が続いていますので、完全なる「セミホロウボディ」なのであります。
それゆえなのか、生音はクワッとか、コパッというような妙に乾いたような音がします。(擬音語下手でスマン)
ブリッジはこんな感じのヤツでした。
グレッチと言えばね・・・木台付きのブリッジですよ。
弦交換が大変とか、弾いてるとズレちゃうから両面テープやご飯で貼り付けるとか、そういうアレです。
いいんです・・・使いづらくとも、グレッチラバーはこれに憧れて買うんだから、、、
この子もそろそろヘタってきてそうなんですが・・・交換パーツなんて売ってるはずもなく、本格的にリペアするときには現行品とまるっと取り換える感じになるんでしょうね~。
寂しおす。。。
コントロールノブは4+1という仕様。
1つはマスターボリューム、残り4つは前後ピックアップのボリュームトーンがそれぞれ・・・って感じです。
おそらくはレスポールのコントロール回路の出力部分にマスターボリュームがついてるんじゃないですかね。
ちなみにこのノブがなかなか貴重というか・・・。
70年代のグレッチギター所有者はなぜかこいつをよく無くすんですよ!!
ゆえに中古市場に出てくるロックジェットも、ノブだけ交換されてるものとかが結構あります・・・。
あとはGマークだけ剥がれてるヤツとかね。
実は僕のヤツも5つ中2つのGマークが剥がれた状態のものでした。
ちょっと気になったので市販のクリアラベルにマークを印刷しまして・・・
こんな感じで誤魔化しておりますw
(今は紫外線の影響で、印刷した方のGマークが薄くなってきているぞ!)
テールピースはGテールでした。
これも憧れだったなぁ。
グレッチギターの魅力って、こういう「昔のギター感」というか、ちょっと野暮ったい部分なんですよね。
野暮なのに、なんかスマートみたいな矛盾というか・・・「田舎の貴婦人」っていう言葉がよく似合うというか。
ちなみにテールピースを外したら・・・見事に4つほど穴を埋めたあとがありましてw
これはどういうことだ・・・?
前の持ち主がずらしたのか・・・もともとグレッチ社で「あかんあかん、穴がズレた」ってやったのか、、、
ビグスビーでもつけたのかな・・・。
そして・・・衝撃のバインディングズレwww
これはいかんでしょ、、、
「見えないからセフセフwww」みたいな、当時のグレッチ工場のテキトウさが伺える仕上がりですね~。
ボディバックはこんな感じ。
材としては「1プライ」なんですけども、前述のとおりセミホロウボディなので・・・どうなんだ??
コントロール系のプレート類は存在せず、ネックの根本にのみプラ製のカバーがついてますね。
実はこれがTRCとなっております。
この辺も初期モデルだとレスポールのように三か所にプレートがあるので見分けやすいかと。
※逆に75年以降ぐらいのモデルだと背面一か所のコントロールプレートだったかな!?)
ネックは2プライ。
使い込まれた証拠に塗装が剥げまくってます。いいゾ~
※一か所打痕があるのが気になるところ、、、(写真右側)
レスポールに比べると全体的に薄くてワイドって感じなんですよね。
そのせいか実際に構えた時の感覚はちょっとセミアコっぽい雰囲気だったりします。
こうやってみると、スケール的にもレスポールのソレとは違いますね。
実測値で61cm程度だったのでショートスケールってことになりそうです。
フレット数は22で、ネックジョイントは18フレットとなっているので・・・理論上はハイフレットにもアクセスしやすいギターってことになりますね!
ワイとGretsch Roc Jet (7613)の思い出
ここからは・・・いや、ここからも誰得コンテンツ!
僕とRoc Jetとの思い出を・・・。
前回のギターがRJ-85だったのを考えてもわかるとおり・・・僕はきっとファルコンJr.を買ってしまった当時からずっとロックジェットが欲しかったのです。
来る日も来る日もギター販売系のサイトを眺め、、、ついにHyper Guitarsさんのウェブ上でこの子を発見してしまったのでした、、、
もう見つけてしまったら最後ですよね・・・。
その日のうちにメールで予約をして、取り置いてもらい・・・週末には店舗まで足を運ぶことに。
店頭でご対面&試奏・・・。
これは悪魔の売り方ですよ!
一度試奏してしまったら、それはもう所有したのも同じことで。
(行動心理の「保有効果」です)
当時貯金はなかったんですけど、普通に仕事もしていたし「ローン組めばいいよな」と安易に購入を決意。
価格は僕のその時の月給の1.5倍ぐらいでしたw
憧れのギターを手にルンルンで家に帰る僕。
一方、一緒にお店につき添ってくれた彼女(今の嫁さん)は軽く引いてましたね~・・・。
それもそのはず、、、3か月後には結婚式を控えていて。
これから一緒に生計を立てていくべき野郎が、高額なギターをローン組んで買ってんだもん。。。
(結局家に帰って泣かれたという、思い出のギターなのだ、、、)
ただ、結局出音がギャンギャンして安定しなかったり、ライブで盗まれたら・・・みたいなのを考えて、実戦経験はほぼないギターでしたね、、、
何度かスタジオで使ったぐらい。
購入から1年ぐらいでバンド活動もやめちゃって・・・今では家でも基本的にハードケースで眠っている(たまに出してもらえる)という、、、ちょっともったいないヤツだったりします。
おわりに
というわけで、Gretsch Roc Jet 7613のレビューでした。
グレッチギターというと、やっぱりファルコン、ペンギン、デュオジェット、ファイアバード、カントリークラブ、テネシアン、6120・・・と行きたいと思いますが、70年代のグレッチっていうのもこれはこれで味があってかなり楽しめると思います。
特にこのギターはねえ・・・立って構えて、初めてその良さがわかる感じかな!バンドやりたい。
ちなみにこの子、僕が持ってる中で唯一のヴィンテージギターだったんですが、最近ジャパンヴィンテージを入手してしまったので「唯二のギター」となりました。
ただ一番高齢者だな!
72年式なので今年(2022年)でちょうど50歳か・・・ありがとうROC JET。
とりあえず僕が死んだあとに、家族に残せる”ギター資産”としては一番まともかもしれませぬ。