Gibsonが1950年代に世に放ったエレキギター、レスポール・モデル。
そのスタンダードモデルの生産が再開された1970年代中盤ぐらいから、日本をはじめとするアジアのギターブランドではレスポールモデルのコピー品が多く作られてきました。
本来のレスポールモデルはヘッドに「Gibson」のインレイ、そして「Les Paul MODEL」の金文字ロゴ(シルクスクリーンロゴ)が印刷されています。
・・・が!コピー品はあの手この手でバレないように似せたロゴを使っていたのです!
個人的にはこのヘッド文字の印刷バリエーションが大好きで・・・ちょっと色々探してしまいました。
本家と同じ!
まずは本家の血筋から、「やっちゃってるヤツ」まで紹介します。
Les Paul MODEL
本家本元と同じ「Les Paul MODEL」。
本来であれば、これが使えるのはGibsonとその傘下にあるEpiphoneのみです。
過去のアイテムで言えば、今のEpiphoneの位置にあったOrvilleも使えていましたが、近年では「by Gibson」であるMaestroですら使わせて貰えていません。
・・・が!!!!!!
1970年代後半のメイドインジャパンモデルではLes Paul MODELが普通に使われていたのです!!!w
有名なのはBurny FLGですね。
1975年~1979年のモデルには「Les Paul MODEL」が使われていました。
それから
Gaban(福原楽器 1972~1974)、
Ganson(岩村、春日楽器)、
Yamaki、
Joodee(ダイオン)、
CAMEL、
Majest、
Founder、
・・・といったブランドが余裕で「Les Paul MODEL」を使っていたようでした。
面白いのはそれぞれ微妙に字体が違ったりするところですね~。
Joodeeなんか「MODEL」がやけに大きかったりするし。
・・・って、「面白い」じゃないんですよ!!
これには本家ギブソンもカンカンです。
前述したとおり普通に権利侵害というか・・・そもそもレス・ポール氏はこれらのギターを使ってないですからね?
なので「レス・ポール・モデル」と呼ぶのがウソになるわけですよ!
※それ言ったらEpiphoneやOrvilleもウソになるけどもw
そういうわけで、グレーというか、アウトなヘッド文字なのでありました。
よく見かける?国産メーカーの苦肉の策
さて!ここからが本題。
BurnyなんかはGibsonに怒られて、後に違う文字に変更しております。
それと同時期ぐらいに出ていたジャパンヴィンテージものは「それっぽいもの」を用意して楽しんでいました。
Les Paul REBORN
まず一番有名かもしれない、東海楽器が1970年代後半に出していたレスポールコピー。
その名も「レスポール・リボーン」!!
なるほど、レスポールモデルではなく、その「生まれ変わり」だ、とw
事実、モノホンのレスポールよりも鳴るとかいう噂もあったりするすんごいギターだったみたいですけどね~。
(その割には10万円前後ぐらいで取り引きされていることもあるお得なヤツ)
ただ、本家でもないくせにリボーンとは・・・これも非常にグレーな感じでありますな。
Les Paul
ESPの上位機種、Navigatorは「Les Paul」で勝負に出ました!!
なるほどなるほど。
「MODEL」を抜くことでどうにか逃れようとしたわけですな。
いや、アウト!!ww
Reborn OLD
東海楽器がLes Paul REBORNのあと、1970年代末~1980年ぐらいの短い期間に発売していたのは「リボーン・オールド」。
もう何のこっちゃわからないですw
生まれ変わったのか、古いのか・・・。
ただこれもかなり出来が良いレスポールモデルらしいので、いつかは手にしてみたいですけども。
Love Rock MODEL
東海繋がりで行くと、1980年代序盤から現在まで続いているモデル名が「Love Rock MODEL」です。
これは素晴らしいですね~!
「ロックを愛するモデル」ということですよ。
レスポール氏の名前も使ってないし、「Rock」の「R」はちょっと「Paul」の「P」にも似ているし・・・うまいところを突きました。
※Rebornの時に「Rいけるやん!」ってなったんだろうなぁ。
ちなみにTokaiの輸出モデルであるGrandyもしっかりLove Rock MODELとして展開されています。
Super Real MODEL
TOKAIと双璧を成す存在だったという神田商会のGrecoは、1980年代に金文字「Super Real MODEL」を生み出しましたw
なるほど、遠目にみるとSがLに、PがRに見えるわけですね。(見えない)
Super Sound MODEL
その後Grecoは同1980年代に「Super Sound MODEL」なるものも出しています。
これは・・・!!
RがPに見えなかったから、どうにかPに見えそうな文字を・・・と探して、まさかの「頭文字Sかぶり」で攻めてきた感じ。。。
なかなかに闇を感じます。
Super Power MODEL
その後、「Super Power MODEL」にまで進化しています。。
正式な年代はわかりませんが、TRC形状を見るに・・・1990年代ぐらいでしょうか???
Rock Spirits
1990年代のGrecoはさらに派生形の「Rock Spirits」も展開しております。
もうなんだかわかんねえな・・・。
Super Grade MODEL
一方その頃、当初からLes Paul MODELで攻めていたBurnyは・・・Luper Pradeに見える「Super Grade MODEL」に切り替えていました。
これはほんと秀逸。
遠目にみたらLes Paul MODELって書いてあるように見えるもの。
ちなみにBurnyがSuper Grade MODELをロゴに使い始めたのは1981年からなので、前年のGrecoによるSuper Real MODELをパクったんちゃうか!?と疑ってしまいがちですが!
1978年の時点でBurnyは上級モデルにSuper Gradeの称号を与えていましたので・・・どちらがパクったとかはないのかもです。
Leopard MODEL
当時グレコと近しい関係にあったAriaProIIでは「Les Paul MODEL」に響きの似た「Leopard MODEL」を採用。
レオパードwwww
この唐突な感じ・・・個人的にはすっごい大好きです。
「P」を大文字にして、LeoとPardを分割させればよりLes Paul感が出たと思うのですが、そこはね。レオ・パードではなくレオパードですから。
ちゃんとレオパードに義理を通していて偉いなと。
ちなみに近年のアリアの廉価ブランドであるBlitzでもLeopardが採用されている模様。
こっちは「MODEL」が付かないのかな。フォントもやや違いますね。
Studio Lord
ヤマハもその昔、レスポールモデルを出していました。
1970年代~80年代初頭まではSLシリーズとして展開し、ヘッドには「Studio Lord」の金文字入り。
Lordは「道(Road)」ではなく「主(Master)」を意味する言葉なので・・・スタジオにおける中心人物的な、そういう意味を込めてあったのかもしれないですね~。
ちなみにSLシリーズは1981年まではヤマハのオリジナルヘッドシェイプでしたが、1982年モデルからギブソンのオープンブック形状になりました。(版権的に大丈夫だったん??)
Lord Player
ヤマハのレスポールモデルは1985年のカタログでは「LPシリーズ」にアップデートされています。
LP・・・Les Paulか!?と予感させつつ、ヘッドロゴには「Lord Player」。
くぅ~・・・うまいとこ突くなぁ!!
字体もみごとに本家Les Paul風なのが泣かせますね。
「MODEL」の文字を入れてないのがちょっと残念ポイントじゃ!
Limited MODEL
ESP系列のレスポールモデルはNavigatorからEdwards、Grassroots共に「Limited MODEL」というロゴが使われています。
あ、Navigatorは前述のとおり、初期には「Les Paul」を使っていたっぽいですけどね。
たぶんいろいろマズかったってことなんじゃないでしょうか、、、
エドワーズもリミテッド。
グラスルーツもリミテッド。
これはよく見かけるわぁ。
なんか一貫してLimitedなのは潔いですな!
Live Road MODEL
ディバイザーが展開するバッカスブランドの廉価モデル、Bacchus UNIVERSE(バカユニ)は「Live Road MODEL」です。
これは90年代ぐらいのバッカスの廉価ブランド(?)であるBrianにも同じものが採用されていました。
ここでの「Live」はエレキギターということもありますし、生演奏を意味していると思います。
その「道」ですよ。なるほどわからん。
残念ながらバッカスの上位モデルにはLive Roadは採用されていないようです、、、
(公式サイトには金文字でClassic SERIESって書いてある上位モデルがあったな)
Leo Nine MODEL – Fresher
ジャパンビンテージ、80年代の共和商会のブランド「Fresher」からは「Leo Nine MODEL」が登場だ!!!
Leo Nineだよね?あってる・・・?
なんかLeo Lineとかいう噂もあるけど・・・「L」じゃないよね。
いずれにしろ、意味はわかんないよね。
ちなみにFresherはもともと共和商会のフェンダー系のコピーモデルについていたブランドネームでしたが、ギブソン系ブランドだったGallanがGibsonから訴えられそうになってからはレスポールもFresherブランドとして展開した模様。
僕的にたまらねーベスト3
さてさて・・・ここでちょっと趣向を変えまして。
僕的に「これはたまらん!!」と思ったLes Paul風金ロゴのベスト3を紹介させてください!!
Las Vegas
第3位は、島村楽器の上位ブランド「History」より、「Las Vegas」。
いや、響きだけwww
レス・ポール。
ラス・ベガス。
たまらん・・・w
ラスベガスモデルってなんだよ・・・。欲しいよ。
Lost Pearl MODEL
第2位!
K-Garageの「Lost Pearl MODEL」!!
失われた真珠。。。。w
これもクッソたまらんっすね、、、
LとPで言葉を探して、出てきたのがLost Pearlだったんだと思うと胸熱です。
Louis Pauwel
そして栄えある(僕の中での)第1位は!!
ジャパンヴィンテージはギャランより、Louis Pawel!!!!!
誰やねんwwwww
ルイス・パウエル誰やねん!!
ある意味、ルイス・パウエル氏のシグネチャーアイテムなんだとしたらパクリでもなんでもないわけですよ。
まぁ、字体とか形状おもいっきりパクってるけどもw
んもー・・・こんなの欲しいわ、、、
ちなみにギャランというブランド名はGalant(Gabanの前身)やS.G.Galan(下倉楽器)もあってややこしいですが、Louis Pawelシグネチャーは1973年に誕生した共和商会の「Gallan」です。
仲良しさんたち~別ブランドで同じ文字~
金文字は「Les Paul MODEL」だなんて、誰が決めた!?
・・・いや、ギブソンとレスポール氏で決めたんですけどもw
コピーモデルの中では、なぜか別ブランドなのに同じ金文字を使っている場合があるのです!!!
Let’s Play MUSIC
1970年代初頭に存在していた日本のエレキギターブランド、ギャバン。
福原楽器が持つブランドで、製造は春日楽器、販売は東海楽器だったそうです。
なんでも木材以外のパーツにMade in USAのもの(Maxon製)を使っており、上位機種はGibson製のパーツだったのだとか。
※Charさんが使ってたギターというのでも有名ですよね。
そんな宇宙刑事Gabanからは「レッツ・プレイ・ミュージック」です。
音楽を楽しもう!!って、これはなかなか素晴らしいですね!
「L」「P」「M」といった頭文字がLes Paul MODELとマッチしてますし、楽器なのでそのキャッチコピーもピッタリです。
同じくジャパンヴィンテージのGession。
このブランドはなんだかイマイチ情報が出てこなくて曖昧な感じですね・・・。
Tokaiの輸出仕様だとか、Burnyだとか、Barclayだとか言われてますが、、、
そんなGessionもLet’s Play MUSICですよ!
んでもって、BarclayもLet’s Play MUSICでした。
90年代ぐらいの雑誌に載ってる通販の安レスポールがだいたいBarclayだった印象。
コリアンレスポールの走り、みたいな感じでしょうか。
同じくコリアンレスポールのRockhouseは「Let’s Play」。
MUSIC無しなので、何をやるのかが気になります!
これはたしか90年代のIKEBE楽器のオリジナルモデル(RH-LPS)として発売されたヤツでした。
微妙にフォントがチャチいのがまた泣かせますねえ、、、
それから謎のブランド「Nashville」にもMUSIC無しの「Let’s Play」が。
こっちはちょっとフォントを寄せてます。
Lead Player MODEL
Brightonからは、これまた「L」「P」「M」の頭文字をしっかりと生かした、「Lead Player MODEL」!
リード・プレイヤー。
つまりまぁ・・・プレイヤーを導いてくれるモデルですよ。
ちなみにBrightonブランドは過去に欧州で高級アイテムとして存在していたようですが、今出回っているのは中華産の廉価ギターです。
それからTriumphというブランドのレスポールモデルもLead Player MODELでした。
あのバイクのトライアンフと関係あるんですかね?
ほら、ヤマハも本来バイクのブランドなわけですしおすし。。
イシバシ楽器の入門用ブランドMavis(とはちょっとロゴが違うような気もするけども)からもLead Player!
※これ全然検索引っかかってこないんだけど、球数少なかったんでしょうか・・・?
Love Power
個人的に結構ダサい(笑)と思っているのが「Love Power」という金文字ですw
いや、いい意味でね!
The Power of Loveですよ。愛の力です。
LとPから思いついたんやな!
先程Let’s Playで登場したGessionブランドのギターに使われていました。
他にも「JUSTY」とかいうブランドのギターにも使われていたみたいですよ〜。
JUSTYロゴも絶妙にダサくていいなぁw
Live Power MODEL
Love Powerにも似ているけれど、こちらはLive Power MODELだ!!
Burozeとかいう廉価ブランドのヘッドについている金文字です。
ジャパンヴィンテージのTomsonでも同じLive Power MODELが。
ちょっとまって・・・この2つ、なんだか字体もよく似てるな・・・?
ちなみにトムソンはグレコやトーカイ、バーニーに比べるともう1ランク低い価格帯のブランドだったそうです。
・・・が!中には高級機種もあったとか、フジゲン製だとかなんとか。。。
Super Craft MODEL
1970年代後半の春日楽器製ギター「Scorpion by NK」に書かれていたのは「Super Craft MODEL」。
なんだ、SをL風に書いて誤魔化そうみたいなのが当時は流行っていたのか・・・!?
こちらは詳細不明のWonder製Super Craft MODEL。
Cの形状とかかなり近しいので、もしかしたら同じメーカーの別ブランドだったりするのかな?
その他
・・・まだまだあるぞー!!
他にもいろいろ見つけたのでザッとみていきまーす。
Les Piol
中華安ギター?のMaisonは「Les Piol」!!!
うっはw
これもたまらんなぁ・・・!!
レス・ポールならぬレス・ピオルですかね?
なんかスペルを間違えて覚えちゃった人みたいなw
Live Session
ビルローレンスの廉価ブランドBill’s Brothersからは「Live Session」!
Let’s Perform
これは・・・90年代ぐらいの廉価ギターブランドかな・・・?
Stewartより「Let’s Perform」。
意味合い的には「Let’s Play MUSIC」と同じなのかな。
ちょっとフォントがショボめかも。
Legendary GUITARS
MavisのLegendary GUITARS!!
TRCには「LEGENDARY GUITARS SINCE 1979」と書かれており、なんだか歴史がありそうです・・・!!(復刻版とかなんとか)
番外編
最近のフジゲンのレスポールタイプは「Neo Classic」とかいう近文字が付いていました。
Neoになる前はClassicとかだったのかな?
島村楽器の中級ブランドCoolZはMakes you Creative。
この辺のやつは近文字ではあるけれど、Les Paul MODELっぽさを演出していないので番外編とさせていただきました。
それから、レスポールモデルじゃないヤツでもそれっぽい仕様のギターがあります。
たとえばこれ。
ヤマハのSFっていうダブルカッタウェイのモデルにはSuper Fighterと入っています。
こちらはBurnyのレスポールジュニアタイプのヤツ。
Rock’n Roll VERSIONだって!!かっこつけやがって!!
おわりに
というわけで・・・金文字あれこれでした。
どれが好きですか!?
やっぱLes Paul MODELですかね。(あたりまえ)
他にもいろいろあると思うので、また見つけたら追記していきたいところです。