グレッチを代表するハムバッカーピックアップ、フィルタートロン。
今から10年以上前のこと・・・某オークションサイトで中古のフィルタートロンを落札したんですよ。
10,000円ぐらいで。
そしたらご丁寧に「それ、偽物ですよ」と教えてくれた人がいたんですね。
当時はなんか無性に腹が立って「もう落札しちゃったしいいや」と投げていたのですが、最近ふと「あれって本当だったのかなぁ・・・?」と思い、調べてみることにしました。
結論からいうと「わからん」ってところだったのですが、とりあえず手持ちのフィルタートロンと偽タートロンと比べてみたので参考までに!
当時のおさらい
まず比較の前に、当時どういう流れがあったのかを説明させて頂きます。
オークションで「GRETSCH フィルタートロン Gold セット」なるものが出品されており、入札数1で僕が無事落札したわけです。
しかも価格は2つで12,000円と破格。
※いや・・・今考えたらそこまで破格でもないやね、、、中古だし。TVJonesならまだしも。
すると落札直後ぐらいに
落札されたフィルタートロンですが、カバー以外は明らかにグレコ製。裏側の形状や配線、ポールピースの長さ、及びマイナス頭部分の形状、等々・・・その他にも多々ありますが(当方、本家もコピーも所有しております)多分入札が無かったのもそのせいかと・・もし了解済でしたら済みません。ただ、もしそうで無かったら気の毒に思ったので・・
との連絡を頂いたんです。
※当時は落札者のIDが公開されていたので余裕でこういうメッセージの交換も出来たし、今以上に詐欺も横行していたのだ!
「ははーん、さては格安で落札されたのが悔しかったのかな!はたまた僕が『偽物かも』と再出品するのを狙ってるか・・・?」
など考えましたが、ちょっと不安になってしまったので出品者様に「こう言われたんだけど、どうなん?」と連絡したところ「えっ??ワイは本物として買ったんやけど・・・」みたいな連絡を貰いまして、もう誰を信用していいのか・・・みたいな状態になってしまったのでした。(それから10年以上放置していたのじゃ)
比較していくよ
では実際に手持ちのピックアップで比較していきたいと思います。
まず純正品として、’99年式ホワイトファルコンJr.(Made in Japan)についていたもの、次に偽物として’88年式グレコ・ロックジェット(Made in Japan)についていたもの、そして疑惑のフィルタートロンの順で見ていきましょう。
これが純正のフィルタートロンを正面から見たもの。
あ、純正と言ってもファルコンJr.自体を中古で買ったので、その時に偽物にすり替えられていた可能性がないとは言えませんね。
ただ御茶ノ水の下倉楽器さんでそこそこの価格で買ってますし、本物だったと信じたいw
次にこれがグレッコちゃんの偽タートロン(G-Tron)。
なるほどなるほど・・・ピックアップカバーが違うのはさておき、たしかにポールピースの形状も若干違うのかなぁ!
ただこれはヴィンテージ・フィルタートロンに寄せているような気もする。
パテント前のフィルタートロンはカバーにも刻印がなかったですしね。
・・・まぁそうなるとROCJETに乗ってるのがおかしいし、本体に留めるビスの頭もマイナスじゃないとおかしいと思いますが・・・(グレッコはいろいろゆるいんすよw)
では疑惑のアイツはというと・・・
ふーむなるほど・・・。
・・・なんも言えねえw
少なくとも、僕の手持ちのグレッコ偽タートロンとは似てないかなぁ・・・。
3つ並べてみたんですが・・・撮影角度とかのアレがあるのでピッタリ同じ感じにはならず。。。
でも、なんだろう・・・言われてるほど「ポールピースの頭の形状がー」みたいなのは、真正面からは気にならない感じ・・・?
おつぎは斜め上から。
ファルコンJr.のフィルタートロンはポールピースの頭がなだらかな丸みを帯びた感じになってます。
一方グレッコのはこんな感じ。
ファルコンのに比べてちょっと頭が飛び出しているのは調整によるものなので関係ないとして・・・うーん、ややアールが違いますかね。
両サイドのネジ頭が少し飛び出る感じにしかセッティングできず、ピッキング時にひっかかるという難点付きだったりしますw
そして疑惑のこやつ・・・うーん、やっぱりなんとも言えない感じ。。。
でもファルコンのとは頭の形状が違うかもなぁ・・・??(グレッコとも違う、、、)
そういう意味では「(’99年時点の)純正フィルタートロンとは別物」と言われても反論できません。そのとおりかもしれない。
最後に裏面。
ファルコンJr.から。
ご指摘を頂いたようにポールピースの長さ?や配線を気にしたいところです。
写真の上側がリア側。
左上から配線が出ているようですが、PU裏面でアース取ったりはしてないっぽい。
次、グレッコ。
うん、「グレコ フィルタートロン」で検索した時によく見かけるヤツだ。
おそらくこれもヴィンテージグレッチのフィルタートロンを意識した形になってますね。
とにかく当時のグレコが参考にしたオールドグレッチのフィルタートロンがこんな感じだったんでしょう。
(そのころグレッチカンパニーはすでに消滅してたので、オールドグレッチを用いたことは確かなのである)
問題のきゃつ。
グレコのそれとは全然違うので、ご指摘を頂いた「明らかにグレコ製」とはどこのことを言っていたのか・・・?
むしろファルコンJr.のそれによく似ているような気もしないでもない・・・(けどプレート左右の欠け?とか、アースの取り方とかが違うかな。
考えられること
さて、以上を踏まえまして・・・いくつか考えられることがあります。
一つは上に書いたとおり、「そもそも比較用に用意した純正フィルタートロンと思しきもの(ファルコンJr.についてたやつ)が偽物である」という可能性。
中古で購入している以上、ないとも言えないですよね。
自分が手放す時に偽物フィルタートロンにすり替えて、フィルタートロンは別で売って小銭を稼ぐ!!・・・と。
・・・すんごい面倒だし、もっと良い稼ぎ方があると思うけどw
あとは・・・「グレコのフィルタートロンも各種あった」説。
僕が所有しているのはそのうちの1つに過ぎず、密告してくれた人が言うようにこれと全く同じようなグレコ製の偽タートロンがあったのかもしれません。
それか・・・「カバー以外は」とのことなので、表側だけでなく裏面のカバーも純正風にすり替えてあるとか・・・?
・・・えー、そんな面倒なことする???
それでいったいいくら稼げたのよ・・・。
もちろん考えたくはないですけど、ご指摘してくれた人に裏の意図があった・・・って可能性も無きにしも非ず。。。
そもそもフィルタートロンは常に同じ仕様なのか??
で、ふと思ったんですけど、、、
フィルタートロンって1957年の登場以来、本物はずっと同じ仕様なのでしょうか??
ポールピースのサイズとか裏面の形状とか、変更はなかったのかしら。
グレッチは1970年代のボールドウィン時代にはすんごいテキトーなことをやってんですよね。
「純正仕様と違うけど、余った部品があるからくっつけて売っちゃえ」みたいな。
特に1989年に復活したグレッチは大半がMade in Japanなわけで。
それ以前のMade in USAのモデルとは仕様が違っててもおかしくないと思うのです。
そう考えると・・・もしかしたら「お前が落札したフィルタートロン、オールドグレッチのそれじゃないからな」って意味だったのかなぁ・・・??(あいや、明らかにグレコって言うてたか、、、)
ちなみに、グレコ≒グレッチである
ちなみに、なのですが。おさらいとして。
もともとグレッチは1800年代にアメリカで生まれ、1980年まではアメリカで製造販売する楽器ブランドでした。
※厳密には1967年以前と以降で経営母体が違うので、そこらへんを機に評価が分かれるギターだったりします
・・・が!
1980年にギターの製造を中止してしまい、以降1989年まではグレッチギターは作られていなかったわけですよ。(Wikipedia調べ)
今回比較に用いたグレコのRJ-85というギターはグレッチ復活直前の1988年に製造されています。
そして1989年からグレッチギターを作っていたのは、グレコのギターを作っていた寺田楽器なんですね。(現在はフジゲンやフェンダーが作ってるらしいけど)
・・・ってことは、グレッチ復活直前のグレッコ自体、寺田楽器が作っていた可能性があるわけで・・・。
これはもうカバーやポールピース形状が違うだけの「ほぼグレッチ」と言っても過言ではないのではないかとw
・・・。
過言でしたね!すんません!
おわりに
ま、そういうわけで・・・結局本物なのか偽物なのか、みたいなのはよくわかりませんでした。
偽物だったとしても、なかなか精巧な感じで・・・許せませんなw
もし当時ご指摘をくれた方とお話ができるのならしっかり詳細を聞いてみたいところです。
そうそう、肝心の「音」に関してなのですが、、、僕にはあんまりよくわかりませんでした。
↑一応弾き比べ。(クリーンのみ)
疑惑のアイツはブリッジのせいかちょっと音がビビっちゃってます。
↑ブリッジ変える前がこちら。
↑搭載ギター。
まぁ・・・クリアでスイートな音をしてると思いますので、偽物だったとしても問題なかったのかなー。
(これを転売するときには大問題ですが!)
最後に・・・海外のフィルタートロン系PU比較の記事があったので参考までに。
Filter’Tron Shootout: Gretsch, House Of Tone, TV Jones, McNelly and more