ギターのピック、こだわってますかー!?
今日はギターピックの素材についてちょっとまとめました。
プラスチック
一般的なピックは基本的に「プラスチック」かそれ以外か、で分けられると思います。
プラスチックは「合成樹脂」の総称で、つまりは人間が分子を合成して作った素材のことなんですね。
とはいえ、プラスチックと一口に言ってもめちゃくちゃな種類があり・・・僕らギタリストを悩ませてくれるのです!!
セルロイド・アセチルセルロース
ギターピックの素材としての定番は「セルロイド」です。
セルロイドは世界初の高分子プラスチックで、象牙の代わりとして生み出されました。
ギターピックにおいては本べっ甲の代わりとして使われたのが始まりみたいですね。
※余談ですが、「べっ甲ピック」として売られているものの中には単なる「べっ甲柄」なだけのセルロイドピックがいくつもありますw
ニトロセルロースを原料としているので「ニトロ」と呼ばれたりも。
代表的なものは・・・と紹介しようと思ったんですが、まぁもうそこらへんのギターピックはたいていセルロイドなので、たぶん誰しも一枚は持ってるんちゃうかと。
ちなみに、セルロイドもすべてを一括りにはできず、各企業が配合を変えたりしてキャラクターを出しているため、あれこれ試してみるヨロシ。
※たとえばフェンダーは「クラシック・セルロイド」、ギブソンは「セルロイド」というように、素材も別であるかのようなアピールをしております!
個人的にはGrover Allmanのヴィンテージ・セルロイドやD’Andreaのセルロイドピックあたりが本当にヴィンテージ感あってオススメ。
また、PICKBOYからはその派生アイテムかわかりませんが・・・セルテックスというオリジナル素材のピックも発売されています。
※後日追記:セルロイドは発火のおそれがある関係上、現代ではアセチルセルロースに置き換えられているそうです。
そのため、ニトロセルロースのモノホンセルロイドと、そこらでセルロイドとして売られているピックでは微妙にタッチが違うみたいです。
もしかしたらGrover AllmanやD’Andreaのはモノホンセルロイドなのかもなぁ
ポリアセタール
セルロイドに次ぐ有名人が「ポリアセタール(POM)」です。
といっても「ポリアセタール」という名前よりは、デュポン社の商標である「デルリン」や、日本だと「ジュラコン」という名称の方が知られていると思います。
ピックで言うと、Jim Dunlopの500がデルリン、TORTEXがポリアセタールの進化系(表面加工)素材だったかな?と。
あとはD’Andreaの「デルレックス」とか、PLANET WAVES(ダダリオ)の「デュラリン(デュレイン)」とか、Fernandesのスプリームとか、Master8のD-801とか、Fender Dura-Toneとか・・・ぜーんぶポリアセタールです。
※CLAYTONのDuraplexは違うらしい。「デュ」に騙された。
個人的にはD-801のオニギリがシェイプも相まってしゅんごい好き。ミッドがドーンと出る気がする。
ポリエーテルイミド
ポリアセタールと並ぶ有名人、それが「ポリエーテルイミド(P.E.I)」です!
これもそのままの名前だとなかなか浸透してない感こそありますが、商品名「ウルテム」と聞けば「あー!」となるギタリストも多いはず。
人の爪に似た感触の素材ということで、爪弾きっぽいサウンドが出せる感じですかね。
そもそもこれもたしか本べっ甲替わりのアイテムだったのかな?
ウルテムピックも今や各メーカーから発売されてますのでみんな一枚ぐらいは持ってそう。
たとえばJim Dunlopから「ウルテックス」という名前で出ているピックもポリエーテルイミドです。
あとはFenderのTortugaピックもウルテムに特殊配合を加えた素材だったような・・・。
ポリアミド
君はポリアミドを知っているか—?!
・・・たぶん知っていると思います。
ポリアミドを使った商品名「ナイロン」と聞けば一発ですね!
ナイロンピックの歴史も長く、1960年代のHERCO製ピックなんかは有名中の有名ピックと言えるでしょう。
何気にオニギリ型のナイロンピックってあんまりなくて、フェルのヤツを重宝しております。
また、PICKBOYからはカーボンと混ぜた「カーボン&ナイロン66」という素材のピックも発売されてますよ~!
ポリ塩化ビニル
ポリ塩化ビニル・・・すなわちPVC、「塩ビ」とか言われるヤツですね。
塩ビと言えば子供の頃から玩具で親しんできたアイツですよ。
その他にも生活用品でいろいろお世話になってます。
ギターピックではなぜかキャラクターものとか、記念品的なアイテムがPVC製になってることが多いですね。(バンドリピックとか、キティピックとか)
なので実践向きじゃないのかと思いきや!!
意外といい、っていう。
そんな素材です。
ポリフェニレンスルファイド
PPSと呼ばれるスーパーエンジニアリングプラスチック、ポリフェニレンスルファイド。
2000年代のフェルナンデスのカタログでは「セルロイドより硬く、カーボンよりしなやか」という説明がされていたと記憶しています。
なかなか面白い素材で、テーブルの上とかに落とした時の音が他のピックと全然違うんですよね。
妙にパリンパリンと高域が良く鳴る感じで。
なので個人的にはカッティングとかで重宝するかと思っていたんですが、フェルのカタログでは「速弾き向け」なんて書いてました。
ポリフェニルスルホン
PPSに似た名前の素材ですが、こちらは「PPSU」と略されるようです。
D’AndreaがRADEXという商品で採用していますね。
【つくば店】独自のポリフェニルスルホン素材をダンドレアの研磨技術により丁寧に仕上げられたピック『RADEX』が入荷!絶妙な吸い付き具合と厚さより少し薄めに感じる“しなり”等、他のピックでは味わえないニューピックです!#MP新着 #DAndrea #RADEX #荒井貿易 #Guitarpickshttps://t.co/z9v7Gid89A pic.twitter.com/6iY3yt1QOy
— MUSIC PLANT (@musicplant) July 5, 2018
ポリエチレンテレフタラート
なにやら聞きなれない名前の素材ですが・・・テレフタル酸とエチレングリコールを原料にして作られる樹脂・・・それがポリ・エチレン・テレフタラートだ!!!
英名の頭文字を取って略すと「PET」・・・つまりペットボトルの原料になってるヤツですね。
ピック界ではペットボトルの再生材をつかった「Eco Pick」がPET原料として有名かも。
コポリエステル
PET系樹脂のコポリエステル(PETG)。
IbanezのKALEIDOシリーズやJTCコラボピックがEASTMAN社のコポリエステル「Tritan(トライタン)」を使っています。
透明度が高く美しい見た目と、軽やかな弾き心地が特徴的ですかね~。
僕は薄いヤツを使っているのでバリンとした音の出るピックという印象がありましたが、厚みによって印象は変わるようです。(あたりまえ)
ポリカーボネート
CDや機動隊の盾、飛行機の機体などに使われる素材、ポリカーボネート。
カーボネートと名がついているのでカーボン系なのかな。
ピックとしては癖のないものとして扱われるそうですが、たしかに僕もこれといって印象に残る感じはないかも・・・。
Jim DunlopのGELSとかAmericana、Polysなんかがポリカーボネート。
Stubby(LEXAN)もポリカかな。
あとはメタカーボネートもポリカの一種なんて言われてます。
(ただしPICKBOYのメタカーボネートは塩ビでカーボンをはさんだもの、ですが。。。)
ポリエステル・エラストマー
東レ・デュポンによるポリエステル・エラストマーを材質にしたピックもあります。
ゴムのような弾性を持つプラで、ピックの場合アタック感がなくソフトなタッチが出せるため面白いです。
Ibanezから発売されているエラストマーシリーズがソレですね~。
アクリル
ポリカーボネートと共に「有機ガラス」と呼ばれる、アクリル樹脂。
まぁ・・・有名ですよね。ガラスみたいなプラ。
ギタリストには商標の「プレキシグラス」の方が馴染みが深いですかねー。
ピックではV-PicksやGravityといった高級ピックがアクリル製です。
割と厚めながらも、べっ甲ピックのような吸い付き具合など使いやすいピック素材かと。
TUSQ(タスク)
カナダのGraphtech社による人工象牙と呼ばれる素材、TUSQ。
ギターのナットなんかに使われる、バリンとした音が特徴の樹脂ですね。
同素材を使用したピックが発売されています。
ABS
ABS樹脂はアクリルニトリル、ブタジエン、スチレンを組み合わせた樹脂です。
ゴムに近いプラでしょうか。
※アクリルニトリルはアクリル樹脂とは別。
ピックではあまりみかけませんが、無くはないという感じ。
島村楽器の光るピックなんかがソレですね〜。
ポリプロピレン
ポリプロピレン、PPとか言われる素材です。
記事執筆時点ではすでに買えないですが、GuyatoneのCrystal Fragment Pickシリーズに「Polypropylene+Glass Fiber Pick」というPPにガラスファイバーを配合した素材のピックが出ていました。
その他プラ
他にもまだまだありますよー。
ピックボーイのFIBERTEXとか、Master 8 JapanのINIFINIX、Jim DunlopのGator、Grover AllmanのG-Polyなど・・・企業が独自に開発しているプラ系素材っていうのもありますし、Jim DunlopのJazztoneのように「素材非公開」っていうのもあります。
また、セルロイドやポリアセタールでも配合を買えてオリジナリティを出しているものも・・・。
その他素材
プラスチック以外の素材もいろいろあります!(こっちは軽めに)
アニマル系(べっ甲、牛骨、象牙 etc…)
動物の一部を使った素材。
タイマイという亀の甲羅を使った「べっ甲ピック」が有名ですよね。
他にもナットなんかに使われる牛骨、水牛の角、象牙・・・なども。
貝を成形したピックなんてのもあります!
ゴム
車のタイヤなどに使われる「ゴム」。
ClaytoneのPHAT-TONEは硬いピックを硬質なゴムで挟んであるそうです。
タッチはやわらかめ。
金属
アルミ、チタン、スチール・・・金属を使ったピックというのもあります。
音は想像したとおり!って感じですね〜。
高音側の弦は切れちゃうんじゃないか?って不安と戦いながら弾くことになるので、それを超えたメリットがあることが前提ですな。
ブライアン・メイがイギリスの6ペンスコイン(ニッケルシルバー)を使っているのは有名ですが、、、マジで弾きづらいです。
革
レザーピックで検索するとウクレレ用のレザーピックが出てきます。
本皮を使っているものはある意味「アニマルピック」ということになりますね。
フェルト
同じくウクレレ用に、羊の毛などを圧縮したフェルトピックがあります。
これもまぁアニマルピックの一種かな。
木、木の実
ハカランダ(ローズウッド)やエボニー、メイプルなどを使ったウッドピックも存在しています。
木で弦を弾いた時にどういう音が鳴るか?というのを考えると思い浮かぶ音があると思うんですが、そんな音がしますw
また、栗の皮やココナツの殻なども。
石、セラミック
オニキス、メノウといった鉱物をつかったストーンピックなるものがあります。
またセラミックをつかったピックも。
市販品では探せませんでしたが、その他の石系ピックというのもあってもおかしくないかも。
おわりに
もうまさに、「なんでもピックになる」って感じですよね。
こうなってくると100均とかでよく見かけるポリスチレン(スチロール樹脂)とか、ダンボール、厚紙なんかをピックにしても面白そうです。
形になればOKなので・・・グミピックとか、生肉ピックとかの食べる系ピックもありですよねえ。弾きづらそ。
ピックパンチャーを使えば簡単にくり抜けますし、あとは厚みの調整をして独自ピック作るのも楽しそうだな!